「ムーンライト」

 

ムーンライト(吹替版)
 

第89回アカデミー賞作品。同性に心を寄せる黒人の人生という難しいストーリーですが,同性愛者のみならず多くの観客の心を奪ったようです。

この映画では3人のキャストが,少年時代,10代,20代の異なる時代の主人公シャロンを演じます。少年時代~10代の頃のシャロンは,「オカマ」といじめられる華奢で内気な少年でした。しかし物語後半にある事件を境として,ドラッグの売人となり,立派な体躯となります。グッと引き込まれたのは,20代のシャロンを演じる元アスリートのトレバンテ・ローズの,物憂げな瞳。大金と筋骨隆々の身体を手に入れながらも,想いを寄せる幼なじみケビンに見せる表情は,僕の心を強く打ちました。

苦難に満ちたシャロンのストーリーは,重く悲しいですが,同時にとても清らかで美しい。異性愛・同性愛問わず,こんな純粋な愛は現実には存在しません。だからこそ,映画の世界で美しく幻想的に描いてくれたことが,とても嬉しかった。一度ならず二度・三度と観たくなる映画です。