カンボジア旅行記 アンコールワットに感動

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年末年始にかけて,アンコールワットに行ってきました。

目当てはもちろん「アンコールワット」……といいたいところですが,実は出発前はアンコールワットにこだわりがなく,むしろ知人から教えてもらったプレアヴィヒアが目当てでした。

プレアヴィヒアの雄大な眺めは,もちろんすばらしかったです。拠点都市のシェムリアプから車で片道3時間半のこの遺跡に行きたがるのは,同行したガイドによれば現地人か日本人くらいらしい。確かにシェムリアプに溢れかえる異常な外国人の数から考えると,とても静かなものでした。この断崖から見える景観は,心を清らかにさせます。

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断崖の雄大な眺め

 世界遺産に登録されたこの寺院遺跡の帰属をめぐって,2008年にはタイ・カンボジア間で国境紛争に発展したとのこと。確かにこの遺跡にはカンボジア軍とその家族が駐屯しており,防空壕や塁壁が備えてありました。もし国際司法裁判所が,タイへの所属を決定していたら,今回の旅行はタイ旅行になっていたかもしれません。

 


 

さてアンコールワットですが,渡航前は何がすばらしいのかさっぱりわかりませんでした。カンボジアの国旗にも描かれているように,カンボジアの人々にとっての誇りであることは間違いないようです。ただ熱帯の遺跡で雨ざらしになっているためか,写真だと薄汚れた感じがしてパッとしないんです。後学のためにも自分の目で見ておこうかな,程度の認識で行ったのですが……

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水面にもアンコールワットが映っています

実物を見てみたら,迫力が違いました。これが本当に12世紀の建造物なのか!と驚きの連続。ヒンドゥー教の世界そのものを,この建造物に圧縮して具現化したと言えばいいでしょうか。壁にはラーマーヤナや乳海攪拌(ヒンドゥー教天地創造)が描かれ,濠や建造物の配置はヒンドゥー教の世界そのものになっています。

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乳海攪拌の壁画。神とアスラの軍勢が協力して霊薬アムリタをつくる様子

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柱の影がアンコールワットの3つの塔になっています

これは至高の芸術なのだと思いました。ただの大きな建造物であれば,現在まで残り得ない。でもアンコールワットには「哲学」があります。人々を感動させ,引きつける魅力があります。だから何世代もの間大事に保管され,数世紀あとのわれわれをも感動させる力になっているのだと,しみじみ思いました。

デジタル技術がすすみ,われわれは精密な画像を目にすることはできます。だけどやっぱりリアルなものの持つオーラは,実際に目にし触れてみないと感じられない。アンコールワットとの出会いは,そんなことを僕に教えてくれました